ご無沙汰しています,新年のご挨拶以来ですので,2か月ぶりでしょうか。
今年は,もう少し頻繁に更新をしていこうと昨年末に誓ったのですが,計画倒れになりかけていました。
今後は,もう少し更新頻度を上げていきたいと考えております。
さて,今朝ネット上のニュースを見ていると,このような表題の記事がありました。
「子ども2人に万引き指示,母親逮捕」
事案としては,母親が8歳と6歳の子どもに指示をして,スーパーで食料品や衣類等を万引きさせたという事案でした。
このケース,子どもは刑事未成年(刑法41条)ですので,処罰の対象になりませんが,母親はどうでしょうか。
母親が指示したのであれば,母親に刑事責任が問われそうですが,母親が実際に万引き行為を行ったわけではありません。
このような場合に,母親に刑事責任を問う論理,他人の行為を利用して,自己の犯罪を実現する者のことを「間接正犯」といいます。
刑法の中では,重要な論点の一つとして挙げられていますので,大学やロースクールで刑法を習った方であれば,一度は耳にしたことのある言葉かもしれません。
ここでいう「正犯」とは,犯罪行為を実際に行う人を意味するもので,基本的には犯罪行為を実際に行う人と刑事責任を負う人が同一になるのが原則です(いわゆる単独正犯)。
しかし,先の母親のような場合,犯罪行為としての本質(万引き)は,母親の指示によって実現されています。
ですので,犯罪行為の本質に加担した者が犯罪行為を実際に行ったとみるべきという観点から,間接正犯の理論は展開されています。
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